森羅万丈

はてなダイアリー(~2017)から引っ越し、心機一転リスタートです。

本当に「日本式経営=悪」「外国的経営=善」なのか

日本マクドナルドの業績改善を11月29日付けのウェブニュースが報じています。
https://news.nifty.com/article/domestic/society/12151-14206/@nifty
http://b.hatena.ne.jp/entry/s/news.nifty.com/article/domestic/society/12151-14206/

また、この記事に対するツイートが、12月2日の10時現在、4万近くRTされてます。
https://twitter.com/ntrmk_stone/status/936441190206935040

しかし、このツイートで槍玉に挙げられている原田泳幸氏にしても、
元々は外資系企業を渡り歩いた経歴を買われて米国本社にヘッドハンティングされた後、
日本マクドナルド創業者である藤田田氏の「日本式経営を是正」するべく
CEO最高経営責任者)に就任しており、日本人かつ男性というだけで
日本式経営を象徴するかの如く扱うのは、無理があります。

もう一つ、マクドナルド 失敗の本質賞味期限切れのビジネスモデル【電子書籍】[ 小川孔輔 ]の中で述べられてますが、
同じく槍玉に挙げられた「目先の利益しか見ない経営」や「人件費カット」というのも、
当時、米国本社の大株主だったヘッジファンドが、持ち株を高値で売り抜ける目的で
日本の経営陣にも圧力を掛けたのが実情で、原田氏個人の経営信条ではありません。
すなわち、日本人や男性はコストカットしか頭に無いという捉え方は、
先入観に基づく明らかな誤りであると、指摘せざるを得ません。

はてなブックマークのコメントでは、ウェブニュース内でコメントする経済アナリストが匿名である事から
日本マクドナルドが賃金水準をアップした件そのものを疑問視する向きもあります。

米国本社は2015年に平均時給を引き上げており、日本も追随した可能性は高いです。
しかし、いわゆる実働部隊のフランチャイズ店員が恩恵を受けられるかは、別の話です。
ロイター通信は、今年に入って実施されたデモ活動について報じています。
https://jp.reuters.com/article/mcdonald-labourstrike-idJPKBN18L05H

別の記事(ブルームバーグ)は、業績回復はPokémon GOとの連携など、
キャンペーン効果が大きかったとも指摘しています。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-09-14/OW7E6J6JIJUX01

最近ではポイントカード・電子マネー・クレジット決済を矢継ぎ早に導入しており
現金派以外の客層を掘り起こすことに成功したのも大きかったでしょう。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1711/13/news115.htmlITmedia
http://b.hatena.ne.jp/entry/www.itmedia.co.jp/news/articles/1711/13/news115.html

ちなみに原田体制下でも、いわゆる「コーヒー革命」で集客力と利益率が高まり、
業界構造の革新に繋がると大いにもてはやされた時期がありました。
http://toyokeizai.net/articles/-/8789東洋経済オンライン)

日本マクドナルド現経営陣の功績や、賃上げの意義を全否定する意図はありません。
しかし、先のブルームバーグ記事内でも指摘されている通り、業績がV字回復した後に
あらためて成長路線に乗せられるかで、サラ・カサノバ現社長の真価は問われます。

今はまだ、的確な評価をするには、早すぎる時期なのです。