脇山珠美の「剣道歴」と「上京」に関する考察。
※当記事は、あくまでも個人の見解・考察であり、
脇山珠美Pの共通認識を述べたものではありません。
あらかじめ、ご了承ください。
脇山珠美に関する謎として「剣道歴」と「上京」の二つがあります。
と言うのも、脇山珠美は「剣道部で補欠」「初段が取れていない」という事実が示されているのですが、早くから剣道を始めたにも関わらず高校一年生の時点でその状況なのか、それとも高校デビューで曲がりなりにも補欠の立場なのか、後者ならむしろ良いセンスを持っている事になり、まったく捉え方が変わってきます。
そこで、限られた情報の中から「剣道歴」と「上京」に関して考察し、脇山珠美の「剣士」としての立ち位置を固めよう、という試みをしたいと思った次第です。
1.現実の九州地方(佐賀県含む)は、剣道の強豪地域である。
架空の物語であるデレマスに対し、現実の要素を絡めて考察するのはナンセンスと思われるかもしれません。その場合はブラウザバックをお勧めします。
その上で、大学レベルになると話は変わりますが(剣道界の内情には詳しくないですが、陸上の名門大学が箱根駅伝絡みで関東圏に集中するのと、似たようなものではないかと推察します)、少なくとも中学・高校レベルにおいて、九州地方は剣道の強豪地域です。
これは脇山珠美の出身地である佐賀県も例外ではなく、実際に、2016年に開催された第46回全国中学校剣道大会において、佐賀県代表の佐賀市立大和中学校は女子団体部門で準優勝しています(http://www.kendo.or.jp/competition/chugaku/46th/result/#jd)。
したがって、彼女が「高いレベルの学生剣道を求めて上京した」という筋書きは成り立たなくなります。
2.では、脇山珠美は、いつ、剣道を始めたのか?
自分の知る限り、この点について明示された史料はありません。
一方、始めた時期を示唆する内容として、『アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ(以下「デレステ」)』の一般R特訓後コミュにて、次のような一連の発言があります。
彼女は「幼い頃」「たまたまつけたドラマ」に映っていた「強い女剣士」に憧れた旨を述べていますので、最近になって剣道を始めたというのは考えにくいです。
また、前項で述べたように出身地が剣道の名門地域であり、剣道を始めたくても経験する機会が無かったというのも無理があります。
したがって、おそらく小学生、遅くとも中学生の時点では、地元の剣道スポーツ少年団なり剣道部に所属し、剣道を始めていたものと思われます。
3.脇山珠美は、いつ、なぜ、上京したのか?
このことに関しては、剣道を始めた時期とは逆に、つい最近であるのを示唆する内容が『デレステ』脇山珠美コミュ1において述べられています。
彼女の「都会は違いますね」や「田舎者と馬鹿にしないでください」といった言葉は、都会暮らしが長ければまず出てこないでしょうし、高校入学と同時に上京した可能性がきわめて高いです。
また、プロダクションに所属してからは寮暮らしをしている事から、親元を離れて単身上京した可能性も高いと考えられます。
他方、彼女が高校入学のタイミングで単身上京したとすれば、剣道の強豪地域である地元を敢えて離れた理由を、同時に考えなければなりません。
おそらく、彼女は「高すぎるレベル」に対応できなかったのだと思います。
これは強豪地域ならではのジレンマで、学校や団体の名声を保ち、優秀な子供を確保し続ける為には、知名度のある大会で結果を出し続けることが求められます。
したがって、お世辞にも体格・体力に恵まれているわけではない彼女に合わせた丁寧な指導を受けられる状況には無かった、と考えるのが自然です。
学生野球においても、中学生までは近畿圏で過ごした生徒が、高校生になって自分に合った環境を求めて全国に散る例は少なくありませんし、恥ずべき事でもありません。
しかし、彼女の性格を鑑みるに、上京したといってもむしろ逆に「都落ち」のような、本来あるべき場所から「逃げた」という思いがあったのかもしれません。
同じく『デレステ』脇山珠美コミュ1において、このような場面があります。
街中で、女性に絡む男連中を一喝し、戦いを挑もうという段階になって、ようやく彼女は竹刀を携帯していないことに気付くのです。
先述の、一般R特訓後コミュにおいて「私の覚悟」とまで言った竹刀を、です。あらためて同じ画像を提示します。
お気付きかもしれませんが、「珠美の覚悟」ではありません。
基本的に彼女の一人称は「珠美」ですが、ここでは「私」と言っています。それ程までに重い言葉です。
にも関わらず、勇敢にも単身で悪漢の前へ身を乗り出しながら、竹刀の不携帯にギリギリのタイミングまで気付かないほど、彼女の心身は不安定な状態であったと、思うのです。
4.それでも、アイドルと剣で「天下一」を目指すという、新たな決意。
そして、プロデューサーの介入により悪漢が逃げた後、アイドルとしての勧誘を受けた彼女は「田舎者と馬鹿にしないでください」と言いつつも、渡された名刺を受け取ってその場を引き取り、後日あらためて、私服ではなく道着で、プロダクションを訪れるのです。
全員分のコミュ1を網羅したわけではありませんが、プロデューサーの勧誘を受け、結論を出すまでに数日を要するケースは、多くは見受けられません。
また、彼女のイメージからして、そもそも「即決しない」という事自体、意外に感じる方も少なくないのではないでしょうか。
彼女は熟慮を重ねた上で、「夢を叶えるために」「剣の道もアイドルの道も極める」と宣言したのです。
プロデューサーと初めて会った数日前の時点で、彼女の気力が微塵も萎えていなかったとすれば、もしかすると彼女は「即決で」アイドルの誘いを「断った」かもしれません。
しかし、彼女は悩んだ末に、剣の道を極める上で自分に足りないもの、それを補うための方法として、アイドル活動を捉えた、それゆえの言葉であるように思えます。
少なくとも、彼女にとって「剣の道」と「アイドルの道」は、二兎を追うという性質では無く、一心同体の関係にあります。
そのことを、より具体的に示す要素が、SSR特訓後コミュの中にあります。
自分自身を「アイドル剣士」と自称し、その上で「アイドルも剣も天下一を目指す」と口上を述べる共に、マイクには剣の鍔が象られており、両者が一体にして不可分の関係にあることを示すことに他なりません。
厳しい訓練は武道特有ではなく、アイドルも過酷なレッスンを日々重ねますし、試合場とステージの重圧は等しく重いものです。
まだ剣道の公式戦には出場できないものの、目の前の課題を一つずつ、たとえ不器用ではあっても着実に達成していくことで、彼女はアイドルとしても剣士としても、ひいては「人」としても、間違いなく、成長を続けているのです。
そもそも、剣道のみならず、武道の本質は「心」であり、相手を倒したり技量で上回ることが全てではありませんから、剣道とアイドル活動を並行することは、矛盾するようで(困難であることは事実ですが)実は、理に叶っているのです。
そして、その理に辿り着いたのは、彼女が決して「折れず曲がらず」ではなく、挫折を味わったからこそ見つけることの出来た道であったと、思うのです。
ご精読、ありがとうございました。